消費者被害めやすばこ“賃貸借契約編”のまとめを報告します
〜埼玉消費者被害をなくす会(07年10月-08年1月)で55件を収集〜
埼玉消費者被害をなくす会(本部:さいたま市、石川祐司理事長)の活動委員会では、消費者被害が多発しているのに、被害認識の少ない事例として「賃貸住宅退去経験者の情報」と「携帯電話契約者の情報」について、アンケート形式の『消費者被害めやすばこ』を配布し調査活動を行ないました。この調査活動には、会員団体や県内消費者団体などに協力いただき、これまでに賃貸借契約編55枚、携帯電話契約編157枚、計212枚を回収でき、多くの情報を収集できました。
なくす会では、これらの情報を分析・検討した結果をまとめました。
今回は、“賃貸借契約編”のまとめを報告します。
☆なくす会「めやすばこ」取り組み案内はこちら(2007年11月16日HP掲載)
<めやすばこ調査と“賃貸借契約編”のまとめの概要>
◇ |
実施時期: |
2007年10月〜 |
◇ |
回収枚数: |
賃貸借契約編54枚 携帯電話契約編157枚 |
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目 的: |
「めやすばこ」の配布・回収・集計・報告などを通し表面化していない消費者被害を掘りおこし消費者への啓発・被害の未然防止のために活用していく |
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「めやすばこ」の調査活動をすすめることで消費者・消費者団体、地域へ啓発・被害防止の活動を広げる。 |
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埼玉県内の被害状況を把握し、被害の多い事業者へはなくす会検討委員
会で弁護士や相談員による調査・検討を行なった上で申し入れ活動等を迅速にすすめる。 |
<<質問 I >>の集計 賃貸住宅を解約したとき敷金は?
(1) |
戻ってきた(100%) |
(11) |
20.8% |
(2) |
戻ってきた(50%) |
(13) |
24.5% |
(3) |
戻ってきた(20%〜80%) |
(10) |
18.9% |
(4) |
戻らなかった |
(13) |
24.5% |
(5) |
返金なし+修繕費負担 |
( 8) |
15.1% |
<<質問 II >>敷金が戻らなかった理由と負担した修繕部分(複数回答あり)
- 「借主の故意過失が明らか」な場合5件に対し「通常の使用で経年による劣化など」を理由に負担したのが16件と多かった。
- 「クリーニング代一部分負担」は5件で「全室分負担」も4件あり「負担割合不明」だが負担したのが6件だった。
- 負担でもっとも多かったのは「クロス張替え」で19件。畳張替え負担も10件あり、障子や襖張替えも数件あった。
- 記入のコメントでは「後になって敷金は戻るものだと知った。当然のように支払った。(説明は全く受けなかった)」「敷金の返還を求めたが明細を送ってきて『敷金以上の金額がかかっているが大家さんのご好意で』『足が出た分は払っていただいても』と言われた」など、事業者優位の進め方になっている。
<<敷金・賃貸借契約 まとめと課題>>
- 埼玉県内の賃貸住宅業者は全体的に原状回復特約を行ない、借主負担としているところが多いようである。かつ、消費者(借主)側も原状回復特約の不当性を理解せずに契約している回答がみられた。
- 東京都では平成15年度の東京都住宅局に寄せられた相談件数の第1位が「退去時の復旧費用」であったことを受けて、都の条例(賃貸住宅トラブル防止ガイドライン)が平成16年10月に施行されている。
- 退去時に原状回復費用を賃借人負担とする特約、敷金から差し引かれること等の不当性について、個別事業者への申し入れとあわせて行政への要望と、県内不動産業界への要望を行なっていく検討も必要と思われる。
- また、消費者への情報提供も更に広げていくことが必要である。
携帯電話契約編・賃貸借契約編共に消費者側の声を吸い上げることにより、今まで大きなトラブルでないため被害認識が少なかった問題点が明らかになり、消費者側・事業者側の課題も明確になってきました。
この結果を受け、なくす会では被害情報が寄せられた事業者に対し、事業改善や契約書改善等の問合せ活動を進めていき、現在進めている事案と共に消費者への啓発・被害の未然防止のために活用していく予定です。 |
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次回は、めやすばこ“携帯電話編”まとめを掲載します(3月28日掲載予定)
<お問合わせ>
法人埼玉消費者被害をなくす会事務局(担当:橋場・中根) 電話:048−844−8971
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