越谷市消費生活研究会・埼玉消費者被害をなくす会共催:学習会報告
「消費者の目が社会をかえる! 〜差止対象となる景品表示法と特定商取引法とは〜」
越谷市消費生活研究会(中村千代子会長)と埼玉消費者被害をなくす会(本部:さいたま市)は、標記の学習会を、2009年11月11日、越谷中央市民会館において、市民や研究会会員17人の参加で開催しました。講師はなくす会副理事長の長田淳弁護士がつとめました。また、この学習会は越谷市(高橋努市長)に御後援いただきました。以下概要を紹介します。
<学習会の概要と講演要旨>
当日は、後援いただいた越谷市の協働安全部くらし安心課の矢部 副主幹に開会の挨拶をいただいた後、学習講演会に移り、参加者との質疑応答を行いました。
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講演 |
「消費者の目が社会をかえる!」 |
〜差止対象となる景品表示法と特定商取引法とは〜 |
講師: |
長田淳弁護士(なくす会副理事長) |
【講演要旨】
今年9月に消費者庁が発足し、これまで他省庁の所管だった消費者に関する法律が消費者庁に移管され、これまでと違い、消費者目線に立った一貫した施策が期待されていますが、社会がすぐに変わるわけではありません。まず、被害をなくすためには消費者の目線が大事です。また、この間消費者関連の法律も多くでき、法改正も頻繁に行われています。主な法改正の内容を説明します。
消費者契約法が改正され2年半前に消費者団体(適格消費者団体)が訴訟を起こせる制度ができました。差止請求訴訟が通常の裁判と違う点は判決の効力が訴訟当事者だけではなく第三者にも認められるという点で、例えば契約書の条項に無効の判決が出た場合、事業者は該当の条項が使えなくなり、被害の拡大防止につながります。これまでは消契法のみ差止対象でしたが、法改正により今年から景品表示法と特定商取引法の分野でも差止請求が認められる事になりました。
景品表示法に基づく差止対象は主に優良誤認と有利誤認の表示が対象になります。不当表示の判断基準は表示に事実とのズレがあるかどうか、一般の人が読み取れる内容かどうかという点がポイントになります。ズレがあった場合、打ち消し表示(効果には個人差があります等)は使わないのが望ましく、使う場合の表記指導も公正取引委員会で行っています。
公正取引委員会(現在は消費者庁管轄)の排除命令は大手鉄道会社や百貨店などにも出されており、身近な表示が以外にも不当表示だったという例もたくさんあります。不当表示を発見したら消費者庁に連絡する、適格消費者団体に情報提供をするなどの方法が考えられます。合理的根拠の提示を求め、提示できなければ不当表示という判断で行政処分の対象になり、差止請求の対象になります。
特定商取引法に基づく差止対象は不当勧誘・不当表示・不当契約条項などがあります。通信販売は返品条件の記載がなければ8日間返品可能になりました。
消費者庁は消費者を援助するための省庁とも言えます。現実には悪質商法や詐欺被害は増えていますが、本来あるべき社会は普通に生活していたら被害に巻き込まれない、安心して暮らしていける社会、そのような社会にしていく必要があるのだと思います。
【質疑応答】 |
Q. |
「4週間で血圧の低下が見られた」という麦茶の広告、飲めば下がると取れるが? |
A. |
消費者がそうとれるかが判断基準。消費者の声で変わっていく可能性はある。 |
Q. |
浄水器を友達に誘われてお店に行って、買ってしまった。契約書などないが・・・。 |
A. |
販売目的を隠匿して店に連れて行くのは訪問販売になる。契約書がなくても「意思の合致」で売買契約は成立している。事実と違う場合、多くの場合は取り消しができる。 |
<問い合わせ先>
埼玉消費者被害をなくす会 事務局 電話:048−844−8971
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