NPO法人埼玉消費者被害をなくす会(さいたま市浦和区、池本誠司理事長)は、消費者庁が2010年10月15日を期限としてパブリックコメントを募集した「集団的消費者被害救済制度について」に対して以下の意見を提出しましたので紹介します。
☆消費者庁ホームページ「集団的消費者被害救済制度」サイトはこちら
<なくす会の提出した意見>
2010年10月15日
消費者庁企画課御中
集団的消費者被害救済制度についての意見
特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会
日頃より国民生活の充実のため、消費者行政の推進にご尽力いただき、誠にありがとうございます。 より一層の消費者行政の充実・強化を図るため、「集団的消費者被害救済制度」についての意見を提出します。
- 「集団的消費者被害救済制度」を早期に創設してください。
消費者被害は、小額同種の被害が多数発生するという特徴があり、現状の民事訴訟制度によって被害の回復を図ることは困難と考えます。そのため、多くの被害者が泣き寝入りし、結果として加害事業者に不当な利得が残るという状況が放置されています。
被害者と加害事業者の関係の多様性、悪質業者の資産の隠匿や散逸、次々に登場する新手の悪質商法などの現状を踏まえると、行政指導や行政処分だけでは被害の回復と救済は不可能と考えます。
被害を認定しその回復・救済を図るための「集合訴訟」、不当な利得を事業者から吐き出させ、かつ、懲罰的な性格を持つ「行政による経済的不利益賦課」、被害の原状回復に必要な、事業者の財産の隠匿と散逸をふせぐための「財産保全」からなる「集団的消費者被害救済制度」の創設は喫緊の課題です。
消費者の権利を回復し、悪質事業者を社会から退場させて再犯を防止し、公正な市場を実現するために、早期に制度を創設することを求めます。
- 「集合訴訟」制度の手続追行主体に適格消費者団体を含んでください。
消費者庁研究会報告書では、適格消費者団体を手続追行主体に加えるか、引き続きの論点としています。
弊会を含め全国の適格消費者団体は、既に差止請求などで、消費者被害防止のための活動実績を積み上げてきています。また、この間の差止請求業務の経験から、被害救済の活動をするための法的権利の必要性を痛感しています。適格消費者団体が被害拡大防止とともに被害救済においても積極的な役割を果たせるよう、「集合訴訟」制度の手続追行主体に位置づけることを求めます。併せて、適格消費者団体がその役割を十二分に発揮でき、継続的に制度活用をすすめ消費者被害の救済がはかられるよう、情報提供や通知・広告費用、分配費用、事務費等の負担方法など、適格消費者団体に対する支援策の検討を進めることを求めます。
- 「集合訴訟」制度と併せて、「行政による経済的不利益賦課」制度、「財産保全」制度についても早期にとりまとめてください。
消費者基本計画施策番号110では、集団的消費者救済制度について、「平成23年夏を目途に制度の詳細を含めた結論を得ます」としています。「集合訴訟」制度に加えて、「行政による経済的不利益賦課」制度と「財産保全」制度も、悪質な事業者に残る不当利得をはく奪するために必要な制度です。
「犯罪被害者給付金」や「振り込め詐欺防止法による口座凍結」「金融庁による財産保全制度」など、現行の制度や他省庁で先行して実施される制度を参考にするなどしながら、一日も早い制度具体化を求めます。
以上
<問い合わせ先>
埼玉消費者被害をなくす会 事務局 電話:048−844−8971
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