埼玉消費者被害をなくす会(さいたま市浦和区)は、2018年8月28日(火)10時より、浦和コミュニティセンター第13集会室にて、保足和之さん(独立行政法人 国民生活センター)を講師に迎え学習会を開催し、34人が参加しました。
【概要】
2017年度の相談では、契約時に20歳から22歳の若者からの相談件数は、18歳から19歳と比べて1.8倍に高くなっています。20歳から22歳の相談は、男性ではフリーローン・サラ金、サイドビジネスなどの金銭に関するもの、女性では脱毛エステ、痩身エステ、美顔エステ、美容医療など、美容に関するものが上位を占めています。
若者の消費者トラブルのキーワードは「スマートフォン、SNS、借金・クレジット契約」。
スマートフォンは膨大かつ多様な情報を瞬時に取得できますが、誤った情報に基づいて意思決定してしまう危険性もあります。スクロールで通過してしまうところに重要な情報が含まれていることも多くあります。SNSがマルチ取引のきっかけとして利用されてしまうトラブルは18歳から22歳の若者で多くあります。
親権者の同意を得ずに未成年者が行った契約は原則として取り消すことができますが、成人になるとこのような保護はありません。社会経験が乏しい若者をねらい撃ちにする悪質な事業者もいます。成年年齢が引下げになると、18歳になった途端にマルチ商法やエステサロン、金儲けの情報商材などの勧誘を受けたり、個別クレジット契約を勧められたりする可能性があります。
【若者からの相談事例】
よく考えずに契約した事例:街で声をかけられ、タレント事務所に所属契約。翌日解約を申し出たら、まだ撮影も受けてないのに3万円の解約金を請求された
契約をせかされた事例:痩身エステのモニター500円の広告を見て店に出向くと、約20万のコースを勧められた。親に相談しようとしたら、もう20歳だから自分で決めればいいといわれ、エステとクレジットの契約をした。中途解約を申し出たが、13万円も請求された
20歳になった途端に契約させられた事例:20歳の誕生日が来たら契約できると友人に言われ、誕生日の2日後にA氏と会った。仮想通貨で儲けることができるので100万円が必要と言われた。お金がないと断ったがA氏に言われるままに消費者金融から100万借りた。一人勧誘すれば40万円が入ると言われたが誰も勧誘していない。解約し、返金してほしい
借金やクレジット契約を勧められた事例:人気ブロガーが行ったというエステ店で500円の体験を受けたあと、30万円の全身痩身コースを勧められた。支払えないと断ったが、分割払いで1万円なら大丈夫と言われ契約してしまった
【国民生活センターについて】
相談、相談情報の収集・分析・提供、商品テスト、広報・普及啓発、教育研修・資格制度、裁判外紛争解決手続き(ADR)、適格消費者団体支援を行なっています。全国に1200か所ある消費生活センターからPIO-NETに入力された相談情報は約90万件/年あり、調査分析・実体把握、情報提供、注意喚起などに活用されています。その相談情報をもとに、知っておきたいトラブル防止のポイントが「くらしの豆知識」として出版されています。
【参加者の感想より一部抜粋】
- 保証人も18歳からなれるとのこと、不安です。
- 若者のトラブルについてはほとんど情報が入ってこない。成年年齢が引下げになると、トラブルに遭う人が増えるだろうと怖いです。
- 家庭内での話し合いや、子どもたちに対しての教育の必要性を感じました。
- 未成年、成年で契約などに差があるということの視点をもつことが出来ました。
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