2019年2月27日(水)10時より、浦和コミュニティセンター第13集会室にて、田中誠氏(消費者庁 表示対策課)を講師に迎え学習会を開催し、41人が参加しました。
【概要】
消費者庁表示対策課では、景品表示法、健康増進法、食品表示法、医薬品医療機器法などの関係法令の執行体制が一元化されたことにより、虚偽誇大広告・表示などについて厳正に対処していることを、実例をもとに説明いただきました。
1.不当表示規制の抑止力を高める課徴金制度の導入
「とても良いですよ」などと表示しながら、期限までに表示の裏付けとなる合理的根拠の資料の提出がなかった場合など、対象商品・役務の売上額の3%分を納付することとする「課徴金制度」を導入しました(ただし、売上額が5千万円未満の場合は課せられない)。
2.不実証広告規制の実効性を高めるセカンドオピニオン制度
消費者庁は、当該事業者に対して合理的根拠の資料提出を求めることができます。提出資料が合理的根拠と認められない場合、当該表示は優良誤認とみなされ、行政処分(措置命令)の対象となります。
3.暗示や間接的な表現等に対する措置、打消し表示に関する実態調査報告
消費者庁の調査(平成29年7月公表)では、広告の体験談を見た人の約40%が「大体の人にその効果がある」と認識し、「個人の感想です」という打消し表示を見たとして「効果がある」という認識に大きな変化はないことがわかりました。
4.健康被害のおそれのある成分等を含む健康食品への対応
バストUPとスリムUPを同時にかなえるサプリは、この商品を摂取するだけで豊胸効果と痩身効果が得られるかのような表示でしたが、合理的な根拠は示されず、さらにその健康食品に配合された「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品により身体に対する危害事例が多発したとして、注意喚起を実施、食品衛生法を一部改正しました。
5.トクホ・機能性表示食品の表示・広告に対する事後チェック
トクホの広告に「血圧が高めの方に適した食品です」「薬に頼らずに食生活で血圧の対策をしたい、そんな方々をサポートしようと開発」と表示されていました。薬物治療によることなく、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果が得られると誤認させる表示です。「適切な診療の機会を逸するおそれがある」として健康増進法に基づき勧告・公表しました。
6.その他健康食品に対する取締り(アフィリエイト広告、ステルスマーケティング等への対応)
アフィリエイトサイトにおいて、その商品を摂取するだけで容易に著しい痩身効果が得られるかのような表示をしていた例では、広告主に対する措置命令・課徴金納付命令に加えアフィリエイトサイトから公式サイトに移行した場面に「謝罪の社告」を表示するよう措置命令を行ないました。
【参加者の感想より一部抜粋】
- 毎日様々な広告を目にするが、いかに実際のものとは違う商品の広告が多いか、驚いた。
- 法令やその規制内容についても具体的な例を提示していただきわかりやすかった。
- どこに騙されるのかを知ることができたが、弱みがあると付け込まれてしまうと思った。
- 消費者は物事を知る努力をしなければならないですね。
- あまり聞く機会のない話だったので参考になった。
- 消費者庁の仕事の内容がわかってよかった。
- 「国立健康・栄養研究所 素材情報データベース」やパンフレットをぜひ活用してみたい。
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