2021年10月9日 埼玉消費者被害をなくす会
丹野弁護士
2021年10月9日(土)10時より、オンライン(Zoom)にて、丹野 駿吾氏(弁護士)を講師に迎え学習会を開催、50名が参加しました。2017年5月に成立した民法改正の概要、2022年4月1日からの施行が迫った成年年齢引き下げに伴う懸念事項とトラブル防止の対処法などについてお話いただきました。その後、星野 由美さん(埼玉県消費生活コンサルタントの会・消費生活相談員)から、20歳〜23歳が遭うことの多い特徴的なトラブル「マルチ商法」「タレント養成スクール」「オンラインカジノのアフィリエイト」を紹介いただきました。参加者からは「引下げ対象者に対する啓発活動、消費者教育の重要さを強く感じた」「トラブルに遭遇した場合でも、基本的な知識を知っておくことで冷静な対応が出来ると思った」などの感想が寄せられました。
【民法改正の背景】
明治29年(1896年)に民法が制定された後、債権関係の規定(契約等)については、約120年間ほとんど改正がなかった。社会・経済の大きな変化を受け、平成29年5月に民法の一部を改正する法律が公布された。民法の根幹部分である契約に関する規定の改正(2020年4月1日施行)、成年年齢引き下げに関する改正(2022年4月1日施行)が大きな改正ポイントである。
【成年年齢引き下げに伴う懸念事項と対処方法】
・18歳、19歳の若い世代が詐欺的な取引の被害に遭う事例がかなり多くなるのでは?
⇒2022年4月1日から、18歳になれば一人で契約することができるようになる。この「一人で契約ができる」ことの意味は、自由に契約できる反面、契約に伴い発生する責任を負うことになるということ。「契約」とは、守ることを法律上強制される約束で、守らないと、裁判所から強制執行(自分の財産を差し押さえられる)されることになる。
・詐欺業者からすると、ターゲットが広がることになる。
⇒「おいしい話」を持ち掛けて、お金を払わせる詐欺被害が広がることが懸念される。
・被害に遭わないためには、「敵を知る」すなわち、詐欺の手口を知っておくことが大切。
⇒金、異性関係、自己実現への欲求に絡む詐欺が多い。
⇒詐欺の特徴は、話がうますぎる、無料と言っておきながら有料の契約を勧める、契約を急がせる、消費者金融でお金を借りさせるなど。最後には脅すこともある。
⇒若年層に多い詐欺業者への入り口は、インターネット広告、SNS・ダイレクトメール、マッチングアプリ、友達や先輩(学校、バイト先)。
・被害に遭ったかもと思った時点でも、自分を責めずに消費者ホットライン「188」に相談を。お金を払っていない場合は、絶対に支払わないということが大事。契約を結ぶ過程に問題がある場合は、契約を取り消すことができる。
【受講者の感想(一部抜粋)】
- 当事者の青年たちへの消費者教育の重要性と、社会や企業等の意識をどう広げていくのか、あらためて考えた。
- 知っていることで防げる被害が沢山あると思う。
- もし詐欺にあって契約してしまってもお金を払わないということが印象に残った。
- 子どもによく教えておきたいが、社会経験や知識のない子供に正しく理解させるのはなかなか難しい。折に触れて話していきたい。
- 若者が陥りやすい契約トラブル事例を知ることができた。未然に防ぎたいと思った。
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