2021年12月2日 埼玉消費者被害をなくす会
2021年12月2日(木)10時より、オンライン(Zoom)にて、板倉 陽一郎氏(弁護士)を講師に迎え学習会を開催、42名が参加しました。
ビッグデータ(現在はデジタルテータと呼ぶことが多い)は、「どのように取得し、活用されているのか」「その際に個人情報はどのように扱われているのか」「そもそも、個人情報とは何か」などについて法律的な側面から、専門的な内容をわかりやすく解説していただきました。参加者からは「ビックデーターとはなにか?個人情報の扱われ方について理解でき、勉強になりました」「ビッグデータが活用されると聞くと私たちの何が利用されるのだろうと不安を感じていたが、板倉さんのお話しを聞いて多少ですが理解できた」などの感想が寄せられました。
【ビッグデータ活用の現状】
- 5年前の調査と比較し、POSデータ(買い物時のレシート記載の情報と同様のデータ)やeコマース(大手通販サイトなどの販売記録データ)による取得データの活用が大きく進展している。ポイントカードのデータとPOSデータの組み合わせにより個人単位の情報集積が可能。多くは、マーケティングに活用されている。
- データの分析手法は、データの閲覧が75%、集計が74%、統計的な分析47%、AIを活用した予測12%と、個人データを用いない「傾向の分析」に活用されている。
- データの入手元は、社内データ85%、外部データの購入26%。
- AmazonやGoogleなどのデジタルプラットフォームは、検索履歴や閲覧履歴、視聴した動画などのデータから消費者の関心や特性を“推定”し、広告を表示して収益を得る。
⇒ データは企画・開発・マーケティングなどの分野で、すでに有効活用されている。ビッグデータの活用により、個人情報が漏えいすることが怖いと思われるかと思うが、一番怖いのは「分析して差別的に利用される」こと。そのため,病歴等は法でも厚く保護。
【プライバシーの権利と個人情報保護の権利】
- 個人情報保護法とは、「個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務などを定めることにより(中略)個人情報の有用性に配慮し、個人の権利利益を保護することを目的とする」もの。主役は消費者個人ではなく「事業者の義務」を定めたもので「個人情報保護委員会」(個人情報取扱事業者に対する監督権限を持つ)が事業者に「守らせる」もの。
- 個人情報とは、生存する個人に関する情報で「氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できる」か「個人識別符号が含まれるもの」。個人識別符号には、DNA、声紋、顔識別のための情報や旅券番号やマイナンバーなどが含まれる。
- 事業者が守るべきルールの中心は、「利用・取得のルール=取得する際にはその利用目的を本人に通知する」「保管のルール=漏えいなどが生じないように管理」「他人に渡す時のルール=あらかじめ本人の同意を得る」「外国にいる第三者に渡す時のルール(日本法が適用されない)」「開示を求められた時のルール」である。
- ビッグデータ時代への対応として匿名加工情報の制度があるが、加工自体に高度な技術が必要で普及していない。
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