コロナ禍が続く中で迎える2回目の新年ですが、明けましておめでとうございます。
「デジタル社会の推進」を政府も事業者も声高に掲げてポイント付与等の誘導策を進めています。消費者もコロナ禍が続く中でインターネット取引の利用が避けられない状況で、デジタル機器に不慣れな消費者がトラブルに巻き込まれる被害が増えています。検討委員会で取り組んでいる差止請求関係業務も、インターネット上の虚偽誇大広告表示の事案が複数件に及んでいます。
検討委員会は、コロナ禍のため集まって議論することが困難な状態の中で、Web会議を利用することによってコロナ以前の活動とほとんど変わりなく、多数の事案を並行して検討し申入れを活発に行っています。特定商取引法改正によって通信販売の「特定申込画面」の規制強化が盛り込まれましたが、具体的な適用場面での表示方法の目安についてあいまいな部分が残っていますので、本年6月予定の改正法施行によって直ちに違法行為が減少するとは言えません。「特定申込画面」の法令違反行為は適格消費者団体の差止請求の対象にも加えられるので、改正法施行後はさらに積極的に取り組みたいと考えます。
特定適格消費者団体として一昨年に訴訟提起した(株)ZERUTAに対する集団的被害回復訴訟は、給与ファクタリング契約は出資法違反の暴利行為であり全部無効であるという第一段階の判決を獲得し、第二段階の被害者の債権届出を受け付け、債権回収の手続に進んでいます。ただ、訴訟提起後に警視庁がZERUTAの役員らを出資法違反で逮捕する事態となり、違法行為を止めさせる目的は達成されましたが、警察の捜査の結果、集めた資金の大半を暗号資産で他へ移動しており、警察でも把握不能な状態であることが判明しました。訴訟提起前の仮差押命令によって多少の預金は保全していたとはいえ、被害回復としては不十分と言わざるを得ません。今後の訴訟提起事案を選択するうえで配慮が必要ですが、こうした悪質業者に対する被害回復は、行政庁による破産申立権など調査権限と保全権限を伴う制度が求められます。
活動委員会も、一昨年はコロナ禍で活動が大幅に制約されましたが、昨年は活動委員の皆さんもWeb会議の利用が次第に広がり、広告表示の調査活動やWebを活用したアンケート調査を実施する活動に取り組みました。本年2月には、国民生活センターの「消費者フォーラム」において、活動委員会の取組を報告する予定です。デジタル機器に不慣れな消費者の被害を防ぐため、私たち自身もデジタル機器やWeb会議を使いこなして、情報交流・発信力を高める必要があります。
サポーター活動推進事業や高齢者見守りネットワーク推進事業も、コロナ禍の影響が大きいことに変わりはありませんが、今の時代状況の中で地域住民と市町村が連携して被害防止に取り組むことはますます重要となっています。
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