内閣総理大臣認定:適格消費者団体 特定適格消費者団体 特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会
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会議報告

適格消費者団体・特定適格消費者団体
特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会第18回通常総会報告

 

2021年6月23日

 6月23日(水)10時より、埼玉会館3C会議室にて第18回通常総会を開催しました。今年度も社会的影響から規模を縮小し、会場での実出席は理事、監事のみとし、正会員には、書面または委任状での議決参加をお願いし、8名の会員の方にオンラインで参加いただきました。当日は、理事・監事(団体・個人正会員兼任を含む)・事務局等計24名が出席しました。理事会から指名された事務局の司会で開会し、議長に個人正会員の松苗弘幸さんを選任しました。議事録署名人に個人正会員の滝澤玲子さん、小田好美さんを選任、書記に事務局田中を指名しました。

 ※表決権総数123個中、実出席13個、委任3個、書面92個 108個(採決時)

池本理事長

 会を代表し、池本誠司理事長から「昨年から引き続き、検討委員会もオンライン参加をメインに行っていますが、非常に深い活動ができており、多いに評価される取り組みをしてきました。(株)ディー・エヌ・エー差止請求訴訟では、当会の主張を全面的に認める判決が出され、専門誌でも特集号が組まれました。消費者裁判手続き特例法の施行3年目の検討委員会にもオブザーバーとして発言する機会も当会に与えられ、私たちの活動が法制度そのものを引っ張っています。」との挨拶があり開会しました。

来賓挨拶

 埼玉県知事大野元裕様からメッセージで「第18回通常総会の開催にあたり、心からお祝いを申し上げます。消費者被害の未然防止・拡大防止のための取組を続けている貴会の益々のご発展とご参会の皆様のご健勝をお祈り申し上げます。」との挨拶を頂戴しました。

議案審議

 議長より表決権数を満たし本総会が成立していることが報告された後、吉川尚彦専務理事より第1号議案「2020度事業報告、活動決算」、第2号議案「定款の一部変更」、第3号議案「役員補充選任」の提案、鈴木紀光監事から監査報告を行いました。事前に受けた意見に対する回答説明及び質疑応答の後、各議案について採決を行ない、第1号議案、第3号議案は賛成多数、第2号議案は定数の4分の3以上の賛成で承認されました。

採決の様子

報告事項

 第1回理事会を開催後、吉川専務理事より「2021年度の事業計画と活動予算」を報告、2021年度の理事会体制、検討委員、活動委員を紹介しました。

閉会挨拶

 長田副理事長より「私たちの活動が一般の皆様にまだまだ広がっているとは言えない状況であり、法制度でもまだ制限があると思っています。適格・特定適格消費者団体としての社会的意義を広めるためにも引き続き頑張って活動していきたい。」と挨拶があり、閉会しました。

 総会後、会場24名、オンラインにより会員・傍聴者計21名が参加し、特別報告、記念講演を行ないました。

総会特別報告

「株式会社ディー・エヌ・エー訴訟判決の影響」(佐藤徳典弁護士:写真右)

 令和2年11月5日、東京高等裁判所で(株)ディ・エヌ・エー(以下、DeNA)の控訴が棄却され、DeNAは上告せず、令和2年2月5日付原審のさいたま地方裁判所判決の判断が確定した。DeNA側は、すでに問題となった条項を削除したうえ、関連する条項の修正も行った。請求の対象となった条項(以下、モバゲー規約)は、第4条 第3項「当社の措置により損害が生じても当社は一切損害を賠償しません」であるが、主な議論の対象となったのは3項適用の前提となる1項の「他のモバゲー会員に不当に迷惑をかけたと当社が判断した場合」等の条項の解釈であった。

 さいたま地方裁判所の原審では、個別紛争解決事案の場で用いられる合理的制限解釈の基準を使用せず、差止請求における不当条項解釈基準を導き出した。控訴審では、さらに踏み込んだ判断がなされた。本判決で問題となった条項と類似の条項は、大手も含め、オンラインサービスを提供している業者が多く使用していることから、他業者も追随し修正することを期待する。

「株式会社ZERUTA訴訟判決報告」(長田淳弁護士:写真右)

 給料ファクタリング事業者の(株)ZERUTA(屋号:七福神)に対し、賃金債権の引き渡しとして支払った金額の返金を求める被害回復訴訟を提起した。当会として初、特定適格消費者団体としても4件目の被害回復訴訟である。事業者はなくす会申立の仮差押決定を受領した直後に営業を停止した。

 1段階目の共通義務確認訴訟で勝訴(令和3年2月26日さいたま地方裁判所)し、現在2段階目である支払った金額の返金手続きに進み、参加する被害者を募っている。

 本件訴訟は、通常の訴訟を異なり、訴訟を行う主体が個人ではなく特定適格消費者団体であること、二段階の訴訟制度であることが特徴である。

 給料ファクタリングは違法な高金利金融で、出資法や貸金業法の脱法を意図した業態である。しかし、消費者はこのような業者からの借り入れを勤務先に知られたくないという方が多く、泣き寝入りを強いられている。給料ファクタリング事業者の違法性が消費者に周知されないまま被害が継続されるおそれがあるのではないか、同一の商法の撲滅につながるのではないかと考え、共通義務確認訴訟を提起したものである。

総会記念講演

「特定商取引法及び預託法の改正について」(池本誠司弁護士)

 5月14日の衆議院消費者問題特別委員会、同18日衆議院本会議、6月4日参議院地方創生・消費者問題特別委員会で採決、同6月9日参議院本会議にて可決成立した。販売預託商法、定期購入、送り付け商法等の法改正事項は評価できる。契約書面の電子化は、突然法案に挿入され、消費者委員会では批判的意見が多数を占め、消費者団体・弁護士会・相談員団体・司法書士会・労働団体・地方議会など、164団体から反対意見書が提出された。

 書面交付義務の電子化における改正事項は、「販売業者は、契約書面(申込書面・概要書面)の交付に代えて、政令で定めるところにより、申込者の承諾を得て、電磁的方法により提供することができる。」契約内容やクーリング・オフの存在に気付かず8日間が経過するなど消費者保護機能が骨抜きになる恐れが強く、不意打ち勧誘で事業者が主導的に勧誘するなど、事業者が積極的に勧めれば多くのケースで「承諾」させられてしまい、電子交付が原則になってしまうことが懸念される。

「消費者裁判手続特例法の改正に向けた課題」(長田淳弁護士)

 本制度を利用するハードルはかなり高い。濫訴の危険を重視する設計ではなく、消費者のために機能する、利用しやすい制度となることが必要不可欠である。現在消費者庁で行われている特例法に関する検討会の議論に期待するとともに、特定適格消費者団体の活動への幅広い支援を期待している。

具体的な課題:

(1)
悪質事業者の利益の行先である個人を訴えることができない。
(2)
行政庁の持っている情報を有効利用できる制度の整備。
(3)
第一段階の判決確定後に、財産調査できる制度の導入。
(4)
赤字覚悟で何度も訴訟はできない。財産的な手当ての検討を。
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