なくす会の活動を継続するためには

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適格消費者団体 特定適格消費者団体
特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会
理事長 池本 誠司

 明けましておめでとうございます。

 昨年は、なくす会設立20年、適格消費者団体認定15年の節目の年で、専門家グループによる検討委員会、消費者の皆さんによる活動委員会、埼玉県の委託事業担当者グループが、それぞれ大変活発な活動を展開しました。

 差止請求活動は、二つの検討班がそれぞれ複数の事案を並行して検討し、裁判外の申入れを通じて多くの事案が事業者の自主的改善により解決することができました。他方で、何ら回答がなくWebサイトをいつの間にか閉鎖してしまうケースなど、不誠実な事業者が増えているため難渋するケースが少なくありません。また、インターネット上の国際的な事業者に対しても申入れを行うなど、なくす会の活動の領域が広がっています。差止請求訴訟を提起している旅行予約サイト・アゴダ社も海外法人の会社ですが、同社の日本国内の窓口会社が訴訟には対応しない姿勢のため、海外の本社に対して訴訟資料を送達する必要があるなど、法制度上の不備が見えています。

 集団的被害回復活動は、2024年1月、大手脱毛エステ業者㈱ビューティースリーの倒産に伴うクレジット会社ライフティ社に対する訴訟提起を行い、主張立証活動を続けています。全国の消費生活センターに同社に関する相談が多数寄せられているということで、なくす会には既に数百名の契約者から被害情報が寄せられています。2024年12月には脱毛クリニックの大型倒産も発生しており、本年は早期に良い判決を獲得して、被害回復手続に進むことができるよう頑張ります。

 活動委員会は、「お金の不安」についてのアンケート調査、インターネット上の偽広告の調査など、消費者の不安やトラブルのおそれがある問題について、独自の調査や関係先への要望を送る取り組みを展開しました。

 埼玉県の委託による高齢者等見守りネットワーク促進事業は、市町村の高齢者見守りネットワークの設置と運営を促進する取り組みを強化し、消費者被害防止サポーターの育成と活動支援を通じて、サポーターが市町村の消費者被害防止活動に連携・協力して取り組むことを県内各地で広げています。

 私たち消費者団体がこうした活動を継続するには、国と地方自治体の支援が不可欠です。消費者庁が2009年9月に創設されて15年を経過した時期でもあり、国から地方自治体に対する地方消費者行政強化交付金が2025年度をもって終了するのではないかという問題が浮上しています。消費者被害の手口の悪質性がますます進み、個々の消費者が気を付けるだけでは到底防止できない現状を考えれば、国は地方自治体の消費者行政の体制をもっと充実・強化する交付金措置を継続することを、私たちからも要望の声を挙げることが必要です。

 今年もよろしくお願いします。